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ここ数年、賃上げに踏み切る中小企業が増えています。

人手不足も深刻ですし、

「人を採用するために給与を上げる」

「今いる社員に残ってもらうために待遇を良くする」

という考え方は、ある意味当然だと思います。

ただ一方で、

「賃上げしたのに、それでも人が辞める」

という話もよく聞きます。

なぜなのでしょうか。

賃金は大事。でも、それだけでは足りない

経営学では、ハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」という考え方があります。

簡単に言うと、

給与や労働環境は、不十分だと不満につながる。
でも、十分だからといって、それだけで満足ややる気が高まるわけではない。

というものです。

つまり、

給料が低いことは「辞める理由」になりやすい。

でも、

給料が上がったことだけでは「残る理由」にはなりにくい。

ここが大事なのだと思います。

賃上げしても辞める会社にありがちなこと

1.日々のコミュニケーションが変わっていない

給与は上がった。

でも、

上司と話す機会がない。

相談しにくい。

自分のことを見てもらえている感じがしない。

こうした状態が変わっていなければ、働きやすさの実感はそれほど変わりません。

社員が会社に残る理由は、待遇だけではなく、

「ここで働いていて大丈夫そうだ」

と思える日々の関係性にもあります。

2.この先が見えない

給与が少し上がっても、

「この会社で5年後、自分はどうなっているんだろう」

が見えなければ、不安は残ります。

どんな仕事を任されるのか。

どんな力が身につくのか。

どんな役割を期待されているのか。

こうした将来像が見えない会社では、若い社員ほど外に目を向けやすくなります。

3.「なぜ辞めるのか」を分からないまま対策している

人が辞める。

そこで、

「給料が安いからだろう」

と考えて賃上げする。

でも、本当の理由が、

人間関係かもしれない。

上司との相性かもしれない。

仕事のやりがいかもしれない。

評価への不満かもしれない。

将来への不安かもしれない。

原因を確認しないまま賃上げしても、対策がずれている可能性があります。

これは製造現場の不良対策と少し似ています。

原因を見ないまま対策しても、問題はなかなか解決しない。

人材の定着も同じだと思います。

4.賃上げに「意味」がない

賃上げそのものは良いことです。

ただ、

「他社も上げているから」

「採用できないから仕方なく」

という形だけだと、社員には意外と伝わります。

例えば、

「今後はこういう会社にしていきたい」

「そのために、人への投資を増やしていく」

「社員にこういう役割を担ってほしい」

という会社としての考えと一緒に伝える。

同じ賃上げでも、受け取られ方は変わると思います。

「残る理由」をつくれているか

では、何があれば人は残るのでしょうか。

私は、

給与に加えて、

コミュニケーション

成長の実感

自分の役割が分かること

会社がどこに向かっているのか分かること

こうしたものが重要だと思っています。

以前、伸びる工場には独特の「空気」があるという話を書きました。

コミュニケーションがある。

自分の役割が分かる。

自律的に動ける。

仕事に意味を感じられる。

こうしたものは、結局、人が残る会社にも共通しているのではないでしょうか。

賃上げは「ゴール」ではなく「土台」

賃上げは必要です。

むしろ、これからの時代、避けて通れない会社も多いと思います。

ただ、

「給料を上げたから、これで人は辞めないだろう」

と考えてしまうと危険です。

賃金は、働き続けるための大切な土台です。

でも、その上に、

人間関係。

成長。

役割。

やりがい。

会社の将来。

そういったものが積み重なって、

初めて、

「ここで働き続けたい」

につながるのだと思います。

まとめ

人が辞めると、

「もっと給料を上げないと」

と考えたくなります。

もちろん、それも必要です。

でもその前に、

「うちの社員は、なぜ辞めているんだろう?」

「逆に、なぜ残ってくれているんだろう?」

と考えてみる。

この問いの方が、実は大切なのかもしれません。

賃上げは、不満を減らすための大切な施策です。

でも、

人が残る会社をつくるには、「残りたい理由」まで考える必要がある。

私はそんなふうに思います。

CATEGORIES:

経営

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