私は以前、製造業で生産技術の仕事をしていました。
その頃、よく通っていたのが餃子の王将です。
若かったこともあり、週に1回くらいは行っていたと思います。
一人で行くことが多かったので、座るのはだいたいカウンター。
普通の人は携帯を見ているのでしょうが、私はなぜか厨房ばかり見ていました。
そして、いつも思っていました。
「この厨房、すごいな……」
と。
厨房は「改善の宝庫」だった
製造業で「改善」というと、工場を思い浮かべる人が多いと思います。
設備があって、作業者がいて、モノが流れている。
ムダをなくして、生産性を上げる。
でも王将の厨房を見ていると、
「これ、工場と同じだ」
と思うことがたくさんありました。
それぞれの役割が分かれている。
人がぶつからないように動線が考えられている。
必要なものが、必要な場所に置かれている。
そして、注文が次々に入ってくる中で、それぞれが自分のやるべきことを理解して、自律的に動いている。
誰かが一つひとつ細かく指示を出しているわけではありません。
それでも料理が次々と出来上がっていく。
当時、生産技術をやっていた私には、それがとても面白く見えました。
あとは、圧倒的な動きの速さにも目を奪われていましたね。
「チャーハンはなぜこんなに早い!?」
特に印象に残っているのが、チャーハンです。
注文してから出てくるまで、とにかく早い。
当時の私は、
「なんでこんなに早くできるんだろ?」
と思いながら厨房を見ていました。
すると、調理を始めてからすべてを一からやっているわけではありません。
あらかじめ下準備されたものを使い、注文が入ってからの作業を極力少なくしている。
最後の工程だけを厨房で一気に仕上げていく。
だから速い。
細かな調理方法は店舗や時期によって違うと思いますが、当時の私には、
「前工程でできることを済ませて、最後の工程をできるだけ簡単にしている」
ように見えました。
これはまさに、製造業でいう工程設計や段取り改善と同じ発想です。
「作業者にもっと速く動いてもらう」のではありません。
速くできるように、仕事そのものを設計している。
そこが面白かったのです。
「速い人」がすごいのではなく、「速くできる仕組み」がすごい
改善というと、
「もっと速く作業しよう」
「もっと効率よく動こう」
と、人の頑張りに目が向きがちです。
でも、本当に強い現場は違います。
必要なものが取りやすいところにある。
動線が短い。
役割が明確になっている。
前もってできることは前もってやっている。
迷わなくても次の行動ができる。
つまり、
人が頑張って速くするのではなく、普通にやっても速くできる仕組みになっている。
王将の厨房を眺めながら、そんなことを感じていました。
普通の食事でこんなことを思うなんて、良く言えば意識が高い。
悪く言うと変態ですね笑
改善は製造業だけのものではない
この経験から改めて思うのは、
現場改善は、製造業だけのものではない
ということです。
飲食店にもあります。
物流にもあります。
病院にもあります。
介護にもあります。
スーパーにもあります。
オフィスにもあります。
人が何かの仕事をしているところには、
「もっと楽にできないか」
「もっと早くできないか」
「もっと間違えにくくできないか」
と考えられる余地があります。
そこには必ず「改善」があります。
うまく回っているところには理由がある
今でも飲食店などに行くと、つい店員さんの動きやオペレーションを見てしまうことがあります。
そして、ものすごく忙しそうなのにスムーズに回っている店を見ると、
「なぜ、ここはうまく回っているんだろう?」
と考えてしまいます。
逆に、人はたくさんいるのになぜか回っていない店もあります。
その違いを観察してみると、結構面白いものです。
儲かっている会社。
生産性の高い現場。
サービスの良い店。
そういうところには、偶然ではなく、うまく回るための仕組みがあるのだと思います。
改善のヒントは、工場の中だけにあるわけではありません。
普段利用している飲食店やスーパー、コンビニ、駅、ホテルなどにもたくさんあります。
「なぜ、ここはうまく回っているんだろう?」
そんな目で日常を見てみる。
それだけでも、意外なところから自分たちの現場改善のヒントが見つかるかもしれません。


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