~大企業のやり方をそのまま真似ても失敗する理由~
「大企業がやっている生産性向上の取り組みを真似してみたが、思うような効果が出なかった」。そんな声を、中小製造業の経営者からよく伺います。真似すること自体が悪いわけではありませんが、大企業のやり方をそのまま持ち込むと、うまくいかないことが多いのには理由があります。
なぜ、そのまま真似るとうまくいかないのか
リソースの差
大企業には、生産性向上を専任で担当するIE部門やDX推進チームがあることが珍しくありません。一方、中小製造業では、現場の担当者が本来の業務と兼任で改善活動を進めることがほとんどです。前提となる人員・時間の余裕がまったく違います。
生産量・ロットサイズの違い
大企業の生産性向上策の多くは、大量生産・少品種を前提に設計されています。大規模な自動化ラインや専用設備は、生産量が多いからこそ投資が回収できる仕組みです。少量多品種が中心の中小製造業に、同じ発想をそのまま持ち込むと、投資に見合う効果が出にくくなります。
標準化のレベルの違い
大企業はすでに高度に標準化された工程を土台に、さらなる改善を積み重ねています。一方、多くの中小製造業では、まず作業の標準化そのものから始める必要がある段階にあることも多く、いきなり同じ手法を導入しても、土台がなければ機能しません。
「最先端」だけを真似てしまう
生産性向上というと、AIやIoT、大規模なシステム導入といった、いわゆる「最先端」の取り組みに目が行きがちです。しかし、そうした取り組みが効果を発揮するのは、日々のデータが正しく取れていて、作業が標準化されているという土台があってこそです。土台を飛ばして最先端だけを取り入れても、期待した成果にはつながりにくくなります。
中小製造業に合った進め方
身の丈に合った小さな改善から始める
大きな投資を伴う取り組みではなく、今の設備・人員のままでできる小さな改善から着手する方が、中小製造業には現実的です。段取り替えの手順を見直す、作業の置き場所を整理するといった、コストのかからない改善にも、まだ手をつけられる余地があるケースは多くあります。
特定の人に依存しない仕組みにする
専任担当者を置けない以上、「誰か一人が頑張る」仕組みではなく、兼任のメンバーでも回せるシンプルな仕組みにすることが重要です。凝った仕組みほど、担当者が変わったときに続かなくなります。
自社の強みを活かす方向で考える
大企業が苦手とする「小回りの良さ」「多品種への対応力」は、中小製造業の強みでもあります。大企業と同じ土俵で生産性を競うのではなく、自社の強みを活かせる形で生産性向上を考える視点も大切です。
「考え方」は参考にし、「やり方」はそのまま真似ない
大企業の取り組みの根底にある考え方(ムダを減らす、標準化する、データで判断する)は、規模に関わらず参考になります。一方で、具体的なやり方(投資規模、システムの種類)は、自社の身の丈に合わせて調整することが欠かせません。
まとめ
研修やセミナーでも、似たようなことがよくあります。生産方式をテーマにしたセミナーのチラシを見て、「これは大企業のやり方だから、うちみたいな中小企業には合わないよ」と、内容を見る前から敬遠してしまうケースです。
しかし、そこで紹介されている生産方式も、根底にある「考え方」そのものは、規模を問わず参考になることがほとんどです。取り入れ方を自社の身の丈に合わせて工夫すれば、中小製造業でも十分に活かせる部分は多くあります。「大企業向けだから」と最初から選択肢を狭めてしまうのは、もったいないことかもしれません。
大企業の生産性向上策は、その規模・前提があってこそ効果を発揮するものです。とはいえ、そこにある考え方まで切り捨てる必要はありません。中小製造業には、身の丈に合った取り入れ方があります。自社に合った生産性向上の進め方について相談したい方は、ぜひ一度お問い合わせください。


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