これまで100社以上の工場を見てきました。
工場に入ると、短い時間でも「この会社はしっかりしているな」と感じることがあります。
逆に、設備は新しくても、少し不安を感じる工場もあります。
その違いは、意外と特別なところではありません。
私がよく見ているのは、次の5つです。
1.挨拶
まず見るのは、挨拶です。
来客に気づいて、自然に挨拶や会釈があるか。
作業中なので無理に手を止める必要はありませんが、周囲に意識が向いているかは、意外とよく分かります。
挨拶には、その職場の日常のコミュニケーションが出ます。
2.5S
次に見るのが5Sです。
ただし、きれいかどうかだけでは見ません。
工具や部品が整然と並んでいても、取りにくければ意味がありません。
表示がきれいでも、誰も見ていなければ機能していません。
大事なのは、
「見た目がきれいか」ではなく、「仕事がしやすくなっているか」
です。
3.掲示物
生産実績、品質、安全、改善活動。
工場にはいろいろな掲示物があります。
ここで見るのは、
その掲示物が生きているか。
数字が更新されているか。
コメントが書かれているか。
実際に朝礼や打ち合わせで使われているか。
何か月も前の資料が貼られたままなら、それは「掲示しているだけ」です。
掲示物は、貼ることが目的ではありません。
見て、判断して、行動につなげるためのものです。
4.工具や道具を大切にしているか
ここは、私自身が加工の仕事をしていたこともあり、特によく見ます。
例えば切削工具。
使用後にきちんと手入れされているか。
油が塗られ、錆びない状態で保管されているか。
治具や測定具が乱雑に置かれていないか。
こうしたところには、その会社のものづくりに対する姿勢が出ます。
私は、
工具や道具を大切にできない会社が、良い製品を安定して作るのは難しい
と思っています。
高価な設備を持っているかよりも、
普段使っている工具や道具を、どう扱っているか。
こちらの方が、会社の体質がよく見えることがあります。
5.人の動き
最後に見るのが、人の動きです。
よく歩いている。
探している。
何度も振り返っている。
待っている。
同じ場所を往復している。
こうした動きが多い現場は、仕組みにムダが残っている可能性があります。
一方で、良い現場は動きが比較的シンプルです。
必要なものが近くにあり、次に何をするかが分かっている。
だから、必要以上にバタバタしていません。
忙しそうに動いていることと、生産性が高いことは別です。
見るのは「やっているか」ではなく「機能しているか」
挨拶。
5S。
掲示物。
工具や道具。
人の動き。
どれも特別なことではありません。
でも重要なのは、
やっているかどうかではなく、本当に機能しているか。
です。
5Sをやっている。
掲示物を出している。
工具を並べている。
それだけでは不十分です。
それが、品質、安全、生産性、働きやすさにつながっているか。
そこまで見て、初めて意味があります。
工場を見ると、その会社の考え方はかなり表れます。
良い工場は、見た目がきれいな工場ではありません。
一つひとつの当たり前が、きちんと目的につながっている工場です。
私は、そんなところを見ています。


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