一目で分かる「活気」これまで12年間で、国内外あわせて100社以上の工場にお邪魔してきました。
細かく見ていけば、良い点、気になる点、それぞれの工場に共通する項目はいくつも挙げられます。整理整頓の状態、掲示物の内容、作業者同士の会話の量……数え上げればきりがありません。しかし、それら一つひとつよりも、実は一番はっきりと伝わってくるものがあります。
それは、なんとなく感じる「空気」です。
言葉にしにくいけれど、確実にあるもの
この感覚は、身近な例で言うと、飲食店に置き換えると分かりやすいかもしれません。
同じメニュー、同じ価格帯のお店でも、「また来たい」と思うお店と、そうでないお店があります。その違いを「サービスが良かったから」と言葉にすることはできますが、それだけでは説明しきれない何かがあるように思います。接客の丁寧さだけでなく、そこで働く人たちの真心のようなもの。お店全体から伝わってくる、ちょっとした活気。そうしたものが積み重なって、「また来たい」という気持ちにつながっているのではないでしょうか。
工場も、これとよく似ていると感じています。
工場を訪問すると、こうした活気があるかどうかは、正直なところ、一目で分かります。細かい数字や資料を見る前に、現場に足を踏み入れた瞬間に、なんとなく伝わってくるのです。
活気のある現場は、人の動きにも、交わされる言葉にも、どこか張りがあります。逆に、活気を感じにくい現場は、たとえ整理整頓が行き届いていても、どこか静かで、重たい空気が漂っていることがあります。
その「空気」の正体は何なのか
とはいえ、まったく言葉にできないままにしておくのも、もったいない気がします。あえてその正体に近づこうとするなら、いくつかの要素が浮かんできます。
– 日常的なコミュニケーションの量と質
– 一人ひとりが感じている、やりがい
– 自分の役割が明確になっているかどうか
– 自分が何をすべきかを理解し、指示を待たずに動けているかどうか
– 仕事に対する、ある種の使命感
おそらく、こうしたいくつかのエッセンスが重なり合って、あの「空気」を作り出しているのではないか。個人的には、そう思っています。
だからこそ、地道な取り組みが効いてくる
そう考えると、この空気は、一朝一夕には作れないものだということが分かります。コミュニケーション、やりがい、役割の明確さ、使命感。そのどれもが、一度の研修や、一つの制度改定で劇的に変わるようなものではありません。
だからこそ、こうしたエッセンスを大事にする取り組みを、社内で地道に積み重ねていくことが重要なのだと、あらためて感じています。派手な改革よりも、日々の積み重ねが、結果としてあの「空気」を作っていくのだと思います。
数字には表れにくいからこそ、大事にしたい視点
この「空気」は、決算書にも、生産性の指標にも、直接的には表れません。だからこそ、見過ごされがちな要素でもあります。しかし、私の実感としては、この空気の良し悪しは、その工場の状態を映し出す、かなり正直なサインです。
もちろん、これだけで会社の良し悪しを判断できるわけではありません。ただ、100社以上を見てきた中で、この空気の良い現場は、総じて何かしらの強さを持っているように感じています。逆に、空気が沈んでいる現場には、たいてい理由があります。
数字で語れることも大切にしながら、こうした言葉にしにくい部分にも、目を向け続けたいですね。


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