先月、ある企業で全社員向けにリーダーシップ・フォロワーシップ研修を、複数回に分けて実施しました。その中でチームビルディングについて考えていただく時間があり、そこで得た気づきが印象的だったので、今回はそのお話をしたいと思います。
短所を克服するより、長所に目を向ける
研修でよく話題になるのが、「自分の意見をなかなか言えない人が多い」ということです。これは短所として語られがちですが、同じ人が「人の話をしっかり聞ける」という長所も持っていることには、意外と目が向きません。
大事なのは、短所を無理に克服させることではなく、その人がすでに持っている長所に目を向け、活かしていくことではないでしょうか。ここ数年のリーダーシップ論でも、一人ひとりの特性を活かしてチームを運営することが求められています。全員が発言力を高めるというのも大事ですが、聞き役に回れる人がいるからこそ成り立つチームもあります。
特性診断でわかった、意外な結果
今回の研修では、参加者に特性診断テストを受けてもらい、その結果と演習の成果を見比べました。
すると、似たようなタイプの人が集まったチームよりも、特性がバラバラなチームの方が、演習の成果が良いという結果が出ました。
同じタイプが集まると意見はまとまりやすく居心地も良い一方、視点が偏り死角も増えます。特性がバラバラなチームは最初こそ意見がぶつかり話がまとまりにくいものの、多様な視点が持ち込まれることで、結果的により良い判断につながっていました。
指示するリーダーではなく、「慕われる」リーダー
もう一つ印象的だったのが、あるチームです。そのリーダーは積極的に指示を出すタイプではなく、ニコニコしながらメンバーの話をよく聞くタイプで、一見リーダーシップを強く発揮しているようには見えません。
ところがこのチームは、演習で高い成果を上げました。そのチームをよく見ると、フォロワー全員が「リーダーのために頑張ろう」と自発的に動いていたのです。
さらに興味深いのは、そのリーダー役の人が普段からリーダー的な立場にある人ではなく、日常業務では事務職を担当する若い女性だったという点です。役職や経験年数に関係なく、「この人のために動きたい」と思わせる関係性そのものが、チームの成果を押し上げていました。
個性を「消す」のではなく「活かす」
これらの結果から見えてくるのは、チームビルディングで大事なのは、全員が同じ考え方・振る舞いに揃うことではない、ということです。
- 発言が得意な人もいれば、聞き役に回るのが得意な人もいる
- 慎重に考えるタイプもいれば、まず動いてみるタイプもいる
- 強く指示を出すリーダーもいれば、聞き役に徹することでメンバーの主体性を引き出すリーダーもいる
全員が人の意見に迎合するだけでは、画一的な意見しか生まれません。いろいろな角度から意見が出せる「個性」があってこそ、議論に厚みが出ます。それはメンバーの個性だけでなく、リーダーのスタイルにも同じことがいえます。
チームビルディングとは、個性を上手にまとめること
チームビルディングで本当に大事なのは、個々の個性――長所も短所も含めて――を尊重し、うまくまとめていくことではないかと感じています。
個性を均一化するのではなく、それぞれの違いを活かす場をどうつくるか。リーダーシップも「指示する力」だけでなく、「フォロワーの主体性を引き出す関係性」を含めて捉え直すこと。この両方が揃って、初めて強いチームができあがるのだと思います。
研修の場でも、参加者が「自分の特性は短所だと思っていたけど、長所として活かせる」と気づく瞬間が、何より印象に残っています。チームづくりに悩んでいる方は、まず自分たちのチームの「個性のバラつき」や「リーダーのあり方」に目を向けてみてはいかがでしょうか。


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